潜水病

定義

比較的高い気圧で、圧縮された空気で呼吸していた人が、低い気圧環境にさらされたとき、体内に溶けていた難溶性ガスが気化して気泡を作るようになり、この気泡のために発生するすべての症状および疾患の総称。通常、潜水をする人に多く発生し、潜水病と呼ばれることが多いが、潜水艦のように実際に潜水はしていないが、急激な圧力変化を起こすことができる環境でも発生することがあり、減圧病(Decompression sickness)と呼ぶのが正確である。

原因

高い気圧にさらされた人は、高い圧力の空気を吸入するしかない。ヘンリーの法則(Henly’s law)は、気体の溶媒に対する溶解度は、その気体の分圧に比例するという法則である。 特にヘンリーの法則は、気体が溶媒によく溶けないときによく成立し、窒素は水によく溶けない。ヘンリーの法則に基づき、高い気圧にさらされた人の体は、空気の約80%を占める窒素がよく溶ける環境になる。窒素が溶けている体内環境が急激な圧力減少を経験すると、再びヘンリーの法則に従って窒素の溶解度が低下し、一部の窒素が気化して空気滴を形成する。空気滴ができたからといって、すべての人が症状が発生するわけではないが、この空気滴の量が一定レベルを超えると、様々な症状を作ることになる。

診断・検査

現在、減圧症の診断は、患者の症状および診察所見とともに、減圧があったという病歴聴取に依存することになる。

1型減圧症の場合、皮膚の症状については目で確認できる。しかし、骨と関節の場合、骨折の可能性が低い場合は、診断のために追加的な検査を行わないが、これは生命に支障をきたす可能性が低く、治療の方向性が変わらないためである。

2,3型減圧病の場合、症状の重症度に応じて血液検査、x-ray、CT、MRIなどの画像検査などを行う。これらの検査は、減圧病自体を診断するために検査するというよりは、減圧病によって発生した臓器損傷の重症度、2次損傷、そして減圧と関連した他の疾患を確認するために実施すると見るべきである。例えば、2型減圧病で肺の侵襲が疑われる場合、胸部x-rayと胸部CTを考慮することができるが、これは症状を起こしている気泡を確認するためではなく、一緒に存在する可能性のある気胸、気腫膈膜の疾患を確認したり、一緒に併発した血栓性肺塞栓症を確認するためである。3型減圧病の場合、脳出血を確認するための脳CT及び、脳梗塞の程度を確認するための脳MRIを考慮することができる。

治療方法

1型減圧病の場合、鎮痛剤だけで治療が可能である。ただし、患者が本当に1型減圧病なのか、もしかしたら2型減圧病の特徴を示していないか、よく観察する必要がある。また、1型減圧症でも症状が非常にひどく、患者が耐えられない場合は、後述する治療を検討することができる。

2型減圧病や3型減圧病が疑われる場合は、まず酸素と輸液治療が必要である。姿勢は直立して横になっている姿勢が推奨され、その後、最終的な治療である再加圧治療と連携しなければならない。
経過/合併症
発生した減圧病の程度によって非常に異なる経過を見せる。1型減圧病の場合、ほとんどが良好な経過を見せるが、2、3型減圧病の場合、脳梗塞による後遺症や、心臓発作による死亡などの深刻な障害を負うことがある。

予防方法

米海軍を含む様々な団体が、安全なダイビングのためのガイドである潜水表(Diving table)を提示している。このガイドは、どの程度の深さでどの程度の時間潜水したかによって、必要な減圧の深さや時間を提示しており、減圧が必要ない場合についても明記している。これらのガイドラインに従って潜水すれば、ほとんどの減圧症を予防することができるが、完全に予防できるわけではなく、常に減圧症の可能性があることを忘れてはならない。
日常的なダイバーでさらに注意すべき点は、海面に上がってから減圧症がないからといって安心してすぐに飛行機に乗ることは避けるべきである。飛行機に乗ると、海面より追加の減圧が発生するため、潜水終了直後は症状がなかったが、飛行機に乗って高度が上がるにつれて減圧症が発生する可能性があるからだ。最低12時間から24時間後に飛行機に乗ることが推奨される。

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